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パンドラ 1/4

 Ⅰ 青空

箱の中で夢をみた
遠く 青空光っている
あれは俺の青空だろうか
あの日 殺した青空だろうか

俺の触手がゆらゆら伸びる
やさしい触手がゆらゆら伸びる
乱反射する陽光に
うつくしい人が笑まいした

華麗なピアノの鳴り渡り
まぼろしの人が笑まいした
あの日 空の落ちるまで
あの日 空の落ちるまで

遠く 青空光っている
ただ一点をみつめている
あれは何のことはない
あれは 俺の青空じゃない

さよなら青空
俺の触手は青空を探る
けれど 青空もういない
空落ちて 地上に人の影もない

「存在の響き」

メルマガ寄稿文の転載です。


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★ペンギン瓦版★
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「存在の響き」について。

レパートリー公演を観つづけていると、ぶっちゃけ、ストーリーなんてどーでもよくなりませんか?

僕の場合、レパートリー公演に限らず、他の芝居でも映画でも、ストーリーにさほど興味を惹かれません。

じぁ何を観てるのかというと、俳優の「存在仕方」。
その人間の状態とか、世界との関係の結び方ですね。

存在は、当然、何かしらの文脈(ストーリー)の内に有るものですが、それは必要最小限だけ分かればいいや、という感じです。

ちょっとオブジェを観賞するのに似ています。

そもそも、あらゆるモノは、雰囲気として何事かを語っているのですが、芸術ジャンルとしてのオブジェ作品とは、質の高い「考え」が込められたモノのことを指します。
この「考え」がモノの雰囲気を形作り、バイブレーションとなって観る者の心を揺らすのですね。

そして俳優とは、いわば「生きたオブジェ」です。

先日の稽古のときに、面白い経験をしました。
ある俳優がモノローグを語り出しました。とても小さな声でした。そのうちに、言葉とは違う「声」が聞こえて来ました。いや、聞こえるような気がしたのです。
僕はそれを「存在の響き」と名付けました。
つかみどころのない「声」でしたが、この「存在の響き」は、彼の何を信じているかを告げ知らせている、そう僕に思われました。

しかし、これは稀なこと。なかなか難しい。俳優は、最良の場合のみ「生きたオブジェ」に値するのです。

たぶん、その為には、俳優は恥ずかしげもなく素直に、企まず、開かれて「存在」しなければならないでしょう。

ペンギンは、「存在」を響かせたいと願う今日この頃です。


夢みるにんげん

きみの語らない夢は
その目がぜんぶ教えてくれる
ぼくは人間がすきだ
うしなわれないでいてほしい

あざやかな夢をみるなら
ぼくもまた生きている
ぼくは人間がすきだ
うしなわれないでいてほしい

広大なよるのなかの
小さなひかり
にんげんはにんげんの夢をみる

無口なものたちのあいだで
それぞれの夜に
にんげんはそっと夢をみている


coma emerald

路地裏をスタスタゆくあなたも
スペインの陽射しのなかのあなたも
ベットで毛布にくるまったあなたも
すべておなじひとつのあなた

   やわらかな腹のなかで
   キラキラと昏睡する翠玉
   それが彼女をつれ去って
   それが彼女を踊らせる

あなたは路地裏をまがれば猫となり
スペインの陽を浴びてアネモネとなり
毛布のなかでは子供となる

   秘密の石を携えながら
   彼女はいつでも彼女を越えて
   彼女はいつでも彼女になる

シュガー・ソング

マザー・シュガーが歩いてくる
眼差しに 最後に訪れた慈悲を宿して
不動の 壊れた笑みをうかべ
予言など無視して
期待とも関係なく
なま臭い吐息とともに
おまえを串刺しにするために
顎下から脳天を撃ち抜くために

  彼女はマリア様 愛しい人
  万人に愛し愛され
  俺を嫉妬に狂わせる
  六月猫が
  そんな俺にコケコッコー

彼女は剥き出しの顔で街を歩く
化粧をしても隠せないアラレもなさで
おかまいなしの歌い方で
シルヴァー・エアに遣わされ
死を従え
欺瞞に充ちて
忘れ
俺を飲み込んでしまう
窒息させてしまう
俺は顔を赤らめ 彼女の隣を歩いていく

  あたしは売女 あんたの女王様
  万人に買い買われ
  あんたを嫉妬に狂わせる
  パンキー・カナリアが
  そんなあんたにダミ哂う

向かえ ホテル・カモメの泪は世界の果て
倒れ込みそうなステップを踏んで
衝突する 流れ星に乗って
犬を蹴って
彼女の歌に耳をすまして

 “楽しくって仕方がないの
  シュガーなんて女はいないの
  海はあんまり広くて くすぐったいの”

草原色のベットで見る夢は
赤い夜のなか
残酷な月の女神のもと
夜霧の港を船が発ち
女は腐乱した 新鮮な果実に変わり
男は枯れた 新鮮な花に変わる
見知らぬ赤ン坊が そこに‥‥
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