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アフタートーク「宮沢賢治は銀河人」

12/21(日)「銀河鉄道の夜」のアフタートークでお聴きしたお話を、簡単にレポートしたいと思います。

東京ノーウ゛イレパートリーシアターでは、
「日本人の心の晩御飯」
~“すきとほったたべもの”を召し上がれ~
という企画で、毎週日曜3/29(日)まで
「曾根崎心中」
「銀河鉄道の夜」
の二作品を連続上演していますが、
今回のアフタートークは第1回目(全8回)のパネラーとして、新田満さんをお招きしました。

新田さんは、岩手県(賢治の生きた地ですね)を拠点に様々な演劇の活動をされていて、御自身でも宮沢賢治作品の演出を多く手掛けていらっしゃるだけあり、分りやすく、また深いお話をお聴きすることが出来ました。

「わたしは学者ではありませんし、作品はどう受け止められても自由なものだと思います。だから今日は、賢治に親しんでいる、いちファンとして、そのわたしが、銀河鉄道の夜をどう受け止めているかお話できれば良いかなと思っています。」

と、始まったお話は、「銀河鉄道の夜」に結晶する“考え”を見やすくするために、それまでの賢治作品を丁寧に辿り、また、農民芸術概論から法華経、妹トシの存在の事まで短い時間ながら、まさに“賢治概論”のようでした。
面白かったのは、

「賢治の作品は、よく分からないんですね。電信柱がしゃべっていたり、ドングリが会議していたりね。こんなこと書く奴は、当時から変人扱いですよ。賢治には、頭で考えても分からない表現がたくさんあります。わたしらは、ただ、賢治にはそう“みえた”んだなと思うしかない。」

と、色々なモノの間の交流を描く賢治に、アミニズムまたは平等の感覚を指摘されていて、なるほど、こういうところが詩人というものかと思ったりしました。

続いて、「銀河鉄道の夜」自体を詳しく辿って行きましたが、ここでも「賢治はあの世(四次元)のことが見えたのだろう。そして、その世界の法則を描き出しているのではないか。」とおっしゃっていて、とても興味深かったのは、それが私達の作品理解と表現は違っても、ほとんど重なっていたことです。
だからでしょうか、こんな言葉を頂きました。

「今日、皆さんの観た舞台は、わたしのお話した作品理解とは、少し違うところもあるかも知れません。
けれども、わたしは銀河鉄道の夜の舞台作品を幾つも観ていますが、今日の舞台は、その中でも最も丁寧に作られた良い舞台です。」

ちなみに、新田さんには企画者から、是非アフタートークは岩手弁で、とお願いしていました。
「そう言われっとナンだかうまく方言が出て来ねえなぁ。もう充分訛ってっとは思うけど。」と言いつつ、新田さん!ありがとうございました。
そういえば、こんな話もされてましたね。
「演出家のアニシモフさんはロシア人ですが、岩手とロシアとは、奇妙な共通項があるんです。
ロシア語で「はい(イエス)」は「ダァ」。
岩手弁で「はい(イエス)」は、「んだぁ!」。」

……オアトが宜しいようで。
以上、レポートとさせて頂きます。

制作部 N・Y
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ヴェロニカのはにかみ

ヴェロニカの振る鈴は、
明星の恥じらいであるか。
頭上高く振られる清浄な響きは、
いかなる夜明けを告げんとするか。

ヴェロニカ、お前、はにかむ者よ。そのままに、
ひかりのなかで自らふるえ、歌いなさい。
そして知りなさい。いま慈愛のあめがふり、
お前のももいろの腹に降りそそぐのを。

ヴェロニカの目が戸惑い、また決意するのを見るのは、
隠された手の世界と結ばれるのを知るのは、
それは私の愛ゆえである。

ヴェロニカ、お前、世界をゆらせ。
海をゆらし、丘をゆらし、空をゆらし、わたしをゆらせ。
世界はほほえみ、ひとりの乙女は欲っされよ。

………

ペンギン

異国の朝

朝、目が覚めると果てしなく広がる青空。
そのなかへ広がりゆく私。
吹き抜ける風に遠くまで運ばれて、
消えて還りゆく悲しみ。
世界のどこを探しても悲しみの理由などなかった。

薄明に冷やかに横たわる、
まだ名前のない完璧な世界。
不規則な動きを続ける人々の交通運動。
雲の影。湖が照り返す太陽の光。
真夏の一日が始まる朝の光景。

そこに在って、目に見えるものすべては
私の見知らぬもの達だった。
注意深くなければならなかった。
そして、世界がそういうものならばと、
その不思議さと不気味さとを私は許した。

いま、悲しみの立ち去った朝。
何も知らない異邦人の私に訪れる寂しさ。
この新しい友人が私を世界へと催促する。
はじめから、ひとつひとつを見に行こう。
ゆれるカーテン。白い光。その向こう。

………

ペンギン

賭けの行方

ハイウェイが燃えている。焼かれる前に抜け出せ。滑り抜けろ。俺はスピード狂。
ヤツらより速くヤツらより速く。今夜の賭けに勝機はあるか。反転してゆく魂よ。
前景が、飛び込んでは遠のくんだ。見えるものすべてを見るんだ。だが用心しろ。
捕まえてはオサラバ。捕まえてはオサラバ。この要領だ。

沈む。沈む沈む沈む沈む沈むああもっと速く。滑り抜けろ見つけ出せ。誰よりも
はやく辿り着け。殺せ。すべての理性的思考を殺せ。何を怯えているというのか。
スピード狂のスピード恐。今夜、恐怖と愛とは限りなく近づいている。そう俺は、
最も恐れるものを最も愛する。お前だけを愛する。

見えるものすべてが宇宙の彼方へぶっとんでく。漆黒のアスファルトが。寡黙な
オフィスが。壊れた冷蔵庫が。終わらない会話が。ガス料金支払書が。死体死体
死体死体死体死体死体が。「最高!」と叫ぶ。後部座席の誰かが。いったい誰が。
知らない。お前なんか知らない。サイコ野郎はお前の方だ。

ギィィィィと羽ばたく黒い鳥。月ばかり光る。あざやかな、萎れた花。呼吸する。
血がめぐる。呼吸する。血がめぐる。ああ。信号機のネオンは、赤、赤、赤、赤。
「もっとだ!」そうだ、叩き出せ。俺の中の無用ものは俺がすべて追放してやる。
夜が来る。その前に叩き出すのだ一切を、片っ端から一切を。

冷たい空気が俺の中を支配していく。夜がやって来る。虚無の王は近く。この夜
は絶望にまで更けてゆく。それまでは気をゆるめるな。墓場のように沈黙する夜
のパトロールは続く。サイレンサイレンサイレンが響く。「朝日は昇るのか?」
ただ強く、アクセルを踏む。ガソリンの匂いガソリンの匂いガソリンの匂い…

燃え上がる。この夜は更けて燃え上がる。その熱で化学反応を促すために。祝祭
のために。焼け落ちる俺の死体を尻目に、俺はついに王位に即く。焼死体。頌歌。
俺が俺でなくなるとき、俺はもっとも俺だった。けっして明けない夜。すべてに、
俺は朝日を見つけるだろう。「賭けの行方は?」お前は誰?あとには………錯乱。

………

ペンギン
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