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北風とヌード



北風。北風。北風が俺を裸にする。
俺はチンコぶらぶら、北風をなぞる。

狭い街路。建物と建物の間の底で、見えるのは四角い青空で、
降り注ぐ光は透明で、誰もが無言で、北風吹いて。

俺はヌーディスト。北風びゅうびゅう、チンコぶらぶら歩いていく。
雑踏のなか、寒々とした気分と開放感。

ひとびとを見よ。限りない微笑みを浮かべ彼等はどこへ行くのか。
あるいはまた、どこから来たのか。北風はどこから吹くのだろうか。

北風に入る。よろめくように、俺は北風に踏み迷う。
鼻先にある、目に見えぬ、ひんやりしたヴェールが俺を誘う。

北風を探れ。顔をうずめ、その吹き出づる場所で呼吸しろ。
それで俺はハイになる。その微少な酸素をもとめてる。



女がソファーに横たわる
その平坦な腹がうつくしい
そのなかにあたたかい内臓を感ずる
それはしたしい内臓である
女はぐったりとしまた微笑して
横たわる
おれは腰掛けて女の腹に口づけする
ばら色の血が永劫をめぐる
その音の淋しく鳴りやまぬ
ああ風の音に似ているなと知る俺に
秘密を明かして女のいう
「それは北風」
と女のいう

この北風は
山の上から吹くのだそうだ
ヒマラヤよりも高くオリンポスよりも遠く
あるのだそうだその山の頂
には万年雪が消えない
そこから風の吹くのはすべて
おれに向かって吹くのだそうだ
なぜに愛しているからだとか

女の瞳に虚空が映るのをみる
女がそれに微笑するのをみる
理由がないという理由で
女がいつも微笑している
のはそうして身構えているからである
女がおれをみる
瞳のなかに深きみ空のある
その信じれない程の高み
群青色
墜落をおぼえる

「あたしの山に登って」
とひらいた胸の光輝をみせる
女が
嘆願する
乳房は蒼白としてふるえる
ゼリーのなめらかさ
おれは目を閉じる欲望する手をのばす
暗闇に飢える漂う息づかいを嗅ぐ
その開かれた窓より盗み入るとき

北風がおれに吹きまくる
どうすることもできず吹かれてる
おれは一個の石のようだと思う
「それでいいの」と女のいう
その山でおれは何事かを知る
ぶらぶらぶらぶら
吹かれる
ままの
一個の石
北風がおれを裸にする

………

ペンギン
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セイレーン、或いは重力の女

重力の女が誘惑する。
「落ちて、動くな。」
無力な俺は身をふるわす。
追いつめられた動物のように
渦巻く思いを刃物にして、
その鈍く揺れる幻影のまえに
逡巡する…
重力の女はひとりの女。
ひとりの女よりすぐれた芸術はない。
お前、逆巻く海のセイレーンよ。
その唇は、なにを歌うというのだろうか。
海のしたはどんなだろうか。
重力の女はひとりの女。
ひとりの女よりすぐれた芸術はない。
俺は、落ちてゆくほかないだろう。
海のしたに、太陽は沈んでいるだろう。
俺はそれに火をつけて君を軽くする。
女の頬に透明な陽射しがさして、
その肌の色の変わるのをみる。

………

ペンギン

いびつな月

不完全な人々がそぞろ歩く
欠けた月のかかる夜の街を
名もない切り裂きジャックが疾走する
「俺をここにいさせてくれよ」
異形の女たちが嘲笑う
ネオンのしたの萎れた花は
あざやかに朽ちている
「あたしのお腹を痛めつけてよ」

不完全な人々がそぞろ歩く
ぬるい風に吹かれながら
誰もが密かに祈っている
美しいものよ 来い
強きものよ 来い
そして誰もが絶望したがっている

不完全な人々は我慢がならない
すべてはペテンと知っているので
落とした涙は表面で乾いてしまう
不完全な人々はコインを投げる
おもむろに自分の予感を信じ込み
表に裏にの悪戯に永遠を探る

不完全な人々よ見るがいい
いびつな形に反射する月の冷淡な光を
この街にあっていまは誰も気付かない
暗い宇宙に領する月のしづかな丸みを
不完全な人々がそぞろ歩く
彼等はどこへも行かない

………

ペンギン

つれ去られて

空が私にそそがれ落ちる
地が私にあふれ込む
そうして私はつれ去られる
私は風になったのか

そのように軽く
野をぬけ川をくだり
そのように自由に
石にふれ草木をゆすり…

明け方私は聴いた
星が悲しく告げるのを
私はうなずきただ黙す

さあ帰ろうか
その場所で
雄叫ぶ用意はできている

………
ペンギン

愚者よ殴れ

以下は、ある暴力について
………

聴こえるか?
いまも南極でペンギン達が呼吸する。
笑うような呼吸。
やすらかな呼吸。
切なくながい求愛の呼吸。
君は、
洗濯物をずいぶん溜めたし、
卵を買いにすら行かずに、
死を待っている。
だから、
俺は殴りつけ、
指が折れ、恐れるな恐れるな。
知ってるか?
冷蔵庫のリンゴは腐っている。
郵便箱に手紙が来ている。
俺もその日を待っている。
だから、
君は殴りつけ、
つぶした顔で、
喚いて、
嘘を付くな。
ごまかすな。
聴こえるか?
いまも南極で、
ペンギン達が呼吸する。
聴こえるか?
いつか何処かで、
俺達の呼吸。
笑うような呼吸。
やすらかな呼吸。
切なくながい求愛の呼吸。
俺達は、
愚か者。
不満を抱えた愚か者。

………
ペンギン

五月の空に

以下は、ある移行について。
………

俺の言の葉を
小鳥がくわえて飛んでゆく。
五月の空に
言の葉かすめて消えてゆく。

いづこに?と手を伸ばしても
俺に追うことはできない。
そして地球の片隅に、茫然として
俺は立つ。沈黙する。

このうるわしい空の下
俺には確かなものは何もない。
溺れる、溶ける、風景は
なみだ、なみだ、なみだ。

ああ、せめて君を信じたい。
君が口ずさむ
あの誰でも知っている童謡が
俺はとっても好きだから。

俺は歌おう。五月の空に
声あげて、こころを込めて、
俺の声を響き充たそう。
君の声と交じらうために。

………

ペンギン

見知らぬひとが…

以下は、ある問答。
………

俺が願えば
星が失せる空が落ちる
太陽は氷結して月は砕けて塵となる
こうして世界を終えようか?

なのに俺の内部には
そのとき見知らぬひとがいて
「この体はだれのもの?」
そのひとはそう訊ねるのだ

俺のじゃないんだろうなと俺は思う
それならとそのひとに問うてみる
「あなたは太陽に点火して月を打ち上げられるのか?」

そのひとは答える
「太陽はいまも燃え上がり月は常にそこにある」
さよならと手を振るそのひとは高らかに笑っている

………

ペンギン
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